【丹波篠山市】現役最年少の議員、萩原正人さんに訊く!若手から見た丹波篠山の”今”とは??

丹波篠山市議会議員の萩原正人さん。

2023年に行われた丹波篠山市議会議員補欠選挙に立候補し、無投票で当選。

市議会議員については以前より周りの人から「議員になったら?」と声がかかっていた中、定数5名の補欠選挙で、4名までの立候補が分かり、自分も立候補しようと考えて立候補されたそうです。

今年で45歳。丹波篠山市議会議員の中では最年少。

ご自身で学習塾Qを経営し、特に市政においては教育特化で課題解決に挑んでおられます。

 

学習塾と議員の兼業ということですが、学習塾の方の経営は大丈夫ですか?

議員の仕事の方は夕方までに終わることがほとんどで、塾は夕方からなので並行してできます。 時間が長くなりそうなときは開室時間をずらしたり、お休みの日を調整したりしています。

ご迷惑をかけてしまうときもあります。

市議会の議員報酬はそれだけで生活が賄えるほど多くはありません。子育てなどにもお金がかかるなかで、議員と社業が兼業可能かどうかというのは重要だと感じます

 

丹波篠山をこうしていきたい!みたいなものってありますか?

学習塾をしているということもあって、教育面の課題を解決していければと考えていますが、特に「これ!」っていうのはないです。

それこそ、地元の人たちが「応援しよう」といって集まってくれたときに「マニュフェストは?」って聞かれて、「楽しく、仲良く」って言ったら、「子どもか!」ってツッコまれました笑

以前、「無人駅プロジェクト」(主催:神戸大学・篠山市農村イノベーションラボ、協力:JR西日本)というのがあって、そこに塾生を連れて参加したことがあり、そこで大山駅を盛り上げるために「オオヤマルシェ」を開催したり、古市で「古市バル」を開催したりと、自分も楽しみながらみんなでやっていくことに価値を感じています。

偉大なマニュフェストを掲げずとも、楽しいことをみんなで創り上げていくことに意味がある。そんな姿勢を感じました。自らが率先して周りを巻き込んでいくというスタイルは、活力のある若手ならではのリーダーシップの取り方ではないかと思います。

 

塾もされている中で教育の現状に触れる機会も多いと思うのですが、丹波篠山の教育の課題ってありますか?

今一番気になっているのは、学力をもっと上げられるんじゃないか、ということです。

全国学力テストの中で、学科によって差はありますが、トータルでいうと丹波篠山市の学力は全国平均ぐらいなんです。

でも、クラスが少人数である分、学びは密にできるはずなのでもっと学力が上がる可能性はあると思っています。

塾で子どもたちに勉強を教えるときに、「学習観」を修正することが多いです。

中学生、高校生にはまず算数のレベルから教えたりしているのですが、「なぜこうなるのか」について「そうやって教えてもらったから」と答える子が多いんです。

でも、本来は「なぜこうなるのか」について説明ができないといけない。

ただ単に公式を覚えて、それに当てはめて問題を解く、というのでは自分で考える力が身につきません。

これからの時代は変化が多く何が起こるかわからない時代になります。絶対的な正解はなく、その状況にあわせて自分で考え、正解を創り出していく主体性、創造力、問題解決能力などの非認知能力が必要になってくるのだと感じます。

 

どうやったら身につきますか?

教える側がひたすら問いを投げかけていくことが大事だと思います。

教えることに重きをおく人も多いかもしれませんが、子どもたちに「なぜそうなるのか」という問いを投げかけることにもっと重きを置くといいんじゃないかと思っています。

子どもたちがすでに感覚的に持っているものを「引き出す」というイメージです。

最終的には子どもたちが自分自身で「なぜそうなるのか」と問いかけていくことができるようになることが理想です。

勉強が得意な子どもたちをみていると、自然とそれができているように感じます。

勉強が得意でない子どもたちも、自問自答ができるようになってくると勉強も得意になっていく印象です。

文科省でも「主体的・対話的で深い学び」を掲げ、「予測できない変化に受け身で対処するのではなく、主体的に向き合って関わり合い、その過程を通して、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手となっていけるようにすることが重要である」としています。

 

議員になる前となった今とのギャップってありますか?

めっちゃあります。

丹波篠山市の今を支えてくれている方々のご苦労や困りごとが、少しずつではありますが、見えるようになりました。

今、民生福祉委員会に所属していて、他の担当分野としては産業建設と総務文教というのがあって。

福祉施設に視察にいくことがあるのですが、人手が足りない、お金が足りない、という声をたくさん聞きます。

とはいえ、これを個人で解決するのはむずかしいです。

福祉タクシーも3社あったんですが、今は1社になってしまいました。

高齢化、後継者不足が理由のひとつだと聞いています。

少子高齢化で、福祉のニーズは増えるのに人手が足りないという状況が続いています。

これらの問題を解消するためにも若い世代が丹波篠山に来てもらう必要があると思います。

なので、子育て世代に来てもらうためにも教育環境をさらに充実させていくことが重要になってくるんじゃないでしょうか。

議員になるとまちづくりに関するいろいろな組織や個人と関わることが増える中で、現場の声を聞くことが増えるようです。その中でも人手不足やお金不足は地域のどの業界でも問題になっていることだと思いますが、人口減少と少子高齢化に歯止めがかけられない中で、この問題はますます大きくなっていくことが予想されます。萩原さんは、この問題を根本から解消する方法として、若者を増やすこと、特に子育て世代に来てもらうために教育環境を良くしていくべきだと考えておられるようです

 

今、議会では最年少ということですが、最年少であることで得したことや逆に損したことってありますか?

得なことは、純粋にかわいがっていただいているなと感じます。

1年目なので分からないことだらけですが、若いということで大目に見てもらっているところもあるかもしれません。

ただ、自分としては45歳で最年少、というのも不思議な感じですが。

損したことは特にないなと思います。

丹波篠山にきて10年。移住組ではあるのですが、もとから篠山じゃないということに関しても周りからそれをどうこう言われることもないです。

丹波篠山の人は何でも受け入れてくれるという土壌があるように思います。

「丹波篠山の人は優しい」と市外の人からもよく言われますが、議会においてもそういう温かさがあるのだなと思いました。若いから大目に見てもらえる一方で、若手自身が自ら学んでいく姿勢というのも必要になるのかなと思います。地元出身者、移住者関係なく様々な目線を市政に取り入れていくことによって、より強固な政治が実現できると感じました。

 

議員になってからの活動や議会の雰囲気はどんな感じですか?

議員になってから、アンケートを作って新聞の折込広告に出したことがあり、いろいろな意見を市民の方からいただきました。

一番多かった声は、公共交通。「空気を積んで走っているコミバスはいらない」という意見もありました。

市は今、公共交通はゼロベースで考えているそうです。

議会の雰囲気ですが、今メディアで安芸高田市議会の話とかありますが、丹波篠山市議会はちゃんとしていると思います。

サボっている人もいなければ、みなさん自分の意見を執行部にしっかり伝えていると思います。

自分自身まだまだがんばりが足りないんじゃないかと思わされるぐらいです。

毎日が勉強です!

安芸高田市議会がメディアで取り沙汰されている中で、議員への風当たりが強くなっているように感じます。そんな中で、丹波篠山市議会はしっかりしている、という萩原さんからの意見は貴重だと思います。まだまだがんばりが足りないと萩原さん自身でおっしゃっていますが、1年目にも関わらず、議会では積極的に一般質問をされていたり、アンケート調査でちゃんと市民の声を聞いたりと、しっかり活動をされていると思いました。

 

丹波篠山市に移住してきた理由は?

もともと神戸生まれで、移住前は神戸市の長田に住んでいましたが、自然が多くて教育環境としても「クラスあたりの人数が少ない」というのも良いなと思って移住してきました。

もともと山が好きで、山がいっぱいあるところに住みたいというのがありました。古民家にも憧れがあって。

それから、物件を探していたら駅前で古民家があって、立地的にも最高やということで即決しました。

実際に住んでみて、最初にびっくりしたのは湿気ですね。出かける用事があって2日間ぐらい雨戸を閉めきって出かけていたのですが、帰ってきたら畳にカビが生えていました笑。

あと、丹波篠山に住んでいてびっくりしたのが学校に自由に出入りできることですね。

開放的でいいと思う反面、物理的な安全性が確保できないものか、担当課に質問したこともあります。

防犯カメラをつけたり、人が入ってくるのがわかるように職員室の机を外側に向けたりして対策をされていますが、それでもまだ不安だという親御さんの声も聞いています。

学校にフリーパスで入れる、というのは神戸の学校ではありえないそうです。運動会でも子どもの席と保護者席が厳密に分けられているそう。田舎ならではの開放的な雰囲気というのは一種の魅力であるように感じますが、安全性も両立していくことで更により良い教育環境を作っていく必要があるのだなと考えさせられました。丹波篠山ではご近所さんの顔をお互いが覚えているということもあるので、怪しい人がいたらすぐ分かる、というまちぐるみのセキュリティも機能しているように思います。

 

丹波篠山の未来について

みんな丹波篠山に来たらいいのに、と思っています。

都会にもアクセスしやすいし環境も良い。

ただ、駅から町の各地への交通手段が不足していることが課題かなと。

駅前にタワーマンションが建ったら住む人も増えないかなあと思うこともあります。市の景観条例で12m以上の建物を建てられないのですが、駅前ぐらいは規制緩和してもいいんじゃないかなと。自治会の同意が得られればの話ですが。

逆に移住で心配なのは、今移住してきてくれている人は自分の故郷をはなれて生活しているわけですよね。

だから今後、丹波篠山で生活するのがしんどくなったら、より住みやすいところに出て行っちゃったり、故郷に帰っちゃったりする人もいるんじゃないかと心配しています。

みんなで新しいことに一丸となって取り組んでいる自治会もあります。

一丸となって取り組んでいる自治会は、未来に対して危機感を持っている地域だと思います。

町の人口は年々減っているけれど、その減り方が極端ではないので一種の「茹でガエル現象」に陥っている人も少なからずいるのではないかと思います。ヤバい!と思ったらもう手遅れだった、という事態を避けるためにも、早めから危機感を持って対策をしていく必要があると思います。

 

まとめ!

最年少の議員として前向きに、まちづくりも教育も同時並行で行う萩原さん。

持続可能な丹波篠山を創るために、自らが楽しいと思うことを、ぜひ多くの人を巻き込んで実施していただきたいと思いました。

そして我々自身も、その姿をただ見ているだけではなく、自ら率先して動いていくことが今の丹波篠山には求められていると思います。

萩原さん、ありがとうございました!

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