自治体DX推進計画って、結局なに??

先日、丹波篠山市議会での一般質問で「丹波篠山市DX推進計画」についての質問をさせていただきました。

「何言ってるかわからんかった」
「さるぼぼコインというワードだけわかった」

などのご感想をいただきました。

一般質問って、行政の執行部に対して質問するので、わからん用語がたくさん出てきますよね。

なので、この記事で自治体DX推進計画ってなんなのかという話と、
一般質問で何を質問したのかという話をなるべく分かりやすくお伝えさせていただこうと思います。

私の一般質問の動画も配信されているので、もしまだ見ていない方は見ていただいても良いと思いますが見なくてもいいです。

■詳しい方へ
今回の解説は、「わかりやすさ重視」なので
細かいニュアンスの違いなどはあまり気にしないでください。
ただ、そもそも認識が間違っているようなことがあったらご指摘ください。

そもそもDXとは?

DX(ディーエックス)という言葉、最近になってよく出てきますよね。
「いや、そもそも聞いたこともない」という方もいらっしゃると思います。
もともと、ビジネスの世界で使われるようになった言葉なんじゃないかなと思うのですが
デジタルトランスフォーメーションの略のようです。

えっ?「Digital Transformation」だったら「DT」じゃない?
なんでDXになるの?
みたいな疑問は、ググったら出てくるので気になる人はググってください。

「トランスフォーメーション」は、「変化、変質、変革」という意味がありますので
DXとはつまり、デジタルへの変化、と直訳できます。

デジタルへの変化?人造人間にでもなるの?
と、思う方はいないと思いますが、念の為そういうことではないということをお伝えしておきます。

今の世の中ではデジタル化が爆速的に進んでいて、大きな変化が訪れています。
今までの常識が常識ではなくなるような時代になることが予想できるので
それに備えて対策していこう、というのがDXの考え方ではないかと思います。

「デジタル化」「IT化」などの似たような言葉もありますが、明確には使い分けができます。

「DX」は、組織の文化や人の考え方とか、そういうのを含めてデジタル社会に対応していこう、というもの。
「デジタル化」「IT化」は、アナログだったものをデジタルに変えていこう、というもの。

DXという考え方があって、その手法としてデジタル化やIT化がある、という考え方がわかりやすいかなと思います。

例えば、
「これまで紙で管理していた書類をデータで管理するようにする」というのは、デジタル化。
「Web会議システムなどを使って遠隔で会議ができるようにする」というのも、デジタル化。
「デジタル化を進めるために、ITに興味を持ってもらおう」というのは、DX。
「ITに詳しい人を組織で新しく雇おう」というのは、DX。

ということです。
違いについて、なんとなくわかります??

じゃあ、どうやってDXしていったらいいのかというと…
「習うより慣れろ」という言葉があるように、率先して活用していくことが大事だということです。
なので、DXの計画の中にはデジタル化の手法が含まれています。

ここで危険なのは、
「デジタル化をしているからDXができている」という認識になってしまうこと。

「うちの会社はね、すべてのパソコンが最先端なんですよ!」って言いつつ
「まあ、誰も使いこなせないんですけどね」みたいなことではDXとは言えませんよね。

なので、DXというのは
「誰もがITを使いこなせるようになる、とまでは言わんけどITに苦手意識を持たず日常生活や仕事で普通に取り入れられている状態を目指す」
ということではないかなと思います。

DXって必要?

私は必要だと思っています。

デジタル化することによって、いろいろなことが効率化できますし、今までできなかったことができるようになります。

日本はデジタル化が諸外国と比べて遅れています。
スイスのIMDが行った世界デジタル競争力ランキング2023では、日本は世界の主要国64カ国中32位。

世の中のデジタル化はまだまだ発展途上で、これからさらに加速していくであろうことを考えると
今のままでは他国とますます差が開いていくことになります。

日本はそもそも少子高齢化で、担い手不足が深刻です。
業務効率化によってこれまで10人かかってやっていた仕事が1人でできるようになったりすれば、担い手を10人探す必要がなくなるとか、
情報発信とか、AIでの相性診断みたいなもので、仕事と働き手のマッチングができるようになるとか、
デジタル化によって、少子高齢化だとしてもいろいろな課題を解決していけるのではないかと思います。

また、安心安全に技術の恩恵を受けるためにもDXは大事です。
例えば、自動車は本来、すごく危険な道具です。
だけど、運転のルールや道路や信号機の設置などを定めることで、便利に使うことができます。
ITも情報漏洩やサイバー攻撃のリスクがあるからと敬遠する人もいますが
車と同様で、危険なことに対しての対策をしていくことや、個々のITリテラシーを高めていくことが重要なはずです。

今、DXをしないとデジタル化の恩恵を受けられないばかりか、
デジタル化によるリスクばかりを抱えてしまうことになるのです。

自治体DX推進計画とは

そんなワケで、総務省が自治体に対してDXを推進していこうと言っています。
言うだけじゃなくて、「技術的助言として通知」していて、
これは、学校の先生が子どもたちに対して「怒らないから、やりたくないって人は正直に手をあげて」レベルの強制力があります。
(つまり、やりたくないと言いづらい雰囲気だし、やりたくないと言ったら言ったで結局怒られるやつ)

それだけのことを言うのだから、ちゃんと具体的に(多少無茶な)指示があるので
各自治体はそれに従ってDX推進をしていきます。

総務省が提示している具体的な取り組み内容は以下のとおりです。

【自治体DXの重点取組事項】

(1)自治体フロントヤード改革の推進
(2)自治体の情報システムの標準化・共通化
(3)公金収納におけるeLTAXの活用
(4)マイナンバーカードの普及促進・利用の推進
(5)セキュリティ対策の徹底
(6)自治体のAI・RPAの利用推進
(7)テレワークの推進

【自治体DXの取組とあわせて取り組むデジタル社会の実現に向けた取組】

(1)デジタル田園都市国家構想の実現に向けたデジタル実装の取組の推進・地域社会のデジタル化
(2)デジタルデバイド対策
(3)デジタル原則を踏まえた条例等の規制の点検・見直し

【各団体において必要に応じ実施を検討する取組】

(1)BPRの取組の徹底
(2)オープンデータの推進・官民データ活用の推進

専門用語多すぎてよくわからないですね!

PDFで77ページ分も書かれているのでちょっと読むのも大変です。
推進事例や推進手順書などもあるので全部目を通すのは骨が折れます。
専門用語もたくさん書かれているので、結構IT用語に詳しい人しか読み解けないかもしれません。

私自身も、全部読んで全部理解できているかというと、そういうわけではありません。

1つ1つ解説していきたいところですが、眠たくなると思うのでざっくり解説していきます。

まず、【自治体DXの重点取組事項】の7項目。
これまで自治体が地域ごとに作っていたデータを標準化するという取り組みがあります。
これのメリットは、データの管理がしやすくなるという点と、自動化しやすくなるという点です。
デメリットは、移行に労力がかかることと、自治体からすると新しいシステムに慣れないといけないので、それを学ぶコストがかかるということです。
これが「(2)自治体の情報システムの標準化・共通化」です。

そして、自治体にはいろいろな窓口対応がありますが、マイナンバーカードの普及やデータの標準化によって、手続きが簡単になります。
その結果、無人化やリモートでの手続きができるようになり、職員の手間が減ります。
これは「(1)自治体フロントヤード改革の推進」「(3)公金収納におけるeLTAXの活用」「(4)マイナンバーカードの普及促進・利用の推進」にあたります。

さらに、自治体内部の業務効率を発展させていくために、AIを使って自動分析したり、AIによる自動応答サービスなどを導入するのが「(6)自治体のAI・RPAの利用推進」です。
ここで出てくるRPAとは、「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略で、人がやる作業を自動化することです。

また、データがネットワーク上にあり、窓口も無人化や自動化が進むため、自宅や違う場所にいても仕事がしやすくなるので「(7)テレワークの推進」もしていきましょう、ということです。

そして最後に、無人化やリモート化はネットワークを使うため、セキュリティ対策がとても重要になるので「(5)セキュリティ対策の徹底」をしましょう。
という感じです。

次に【自治体DXの取組とあわせて取り組むデジタル社会の実現に向けた取組】ですが、
これは国がこの先の未来で構想しているデジタル化に向けた取り組みになります。
自治体DX推進はあくまで、準備を整える段階、要は土台作りでしかありません。
国が目指しているのは「デジタル実装を通じて地方が抱える課題を解決し、誰一人取り残されずすべての人がデジタル化のメリットを享受できる心豊かな暮らしを実現する」(デジタル田園都市国家構想)ということです。
自治体DX推進計画では、土台作りと並行して、その先の未来のデジタル化まで考えて取り組みをしていってくださいね、と言ってます。

最後に【各団体において必要に応じ実施を検討する取組】ですが、
こちらは、以前から総務省がBPR(業務改革)やオープンデータを推進していたので、引き続きやるなり、必要性を感じたら新たにやってね、という感じだと思います。

丹波篠山市のDX推進計画の現状

丹波篠山市でももちろんDX推進をやっておりまして、丹波篠山DX推進計画を作っています。
詳細は丹波篠山市DX推進計画について/丹波篠山市で見ていただけます。

「ちゃんとできてるんやったらええんちゃうん」という感じなのですが、
ここで私の行った一般質問の内容とリンクしていきます。

丹波篠山市の推進体制について

私が一般質問で質問をしたのは、このDX推進計画を進めていく体制はちゃんとできているのか?ということです。

ここまで読んでいただいた方は、国が進めようとしている自治体DX推進計画はなかなかハードルが高いものだという印象を抱かれた方も多いのではないでしょうか。
しかも、このDX推進計画はあくまで土台作りであり、スタートラインにすら立っていない状況下において、ここから先、もっとデジタル化を推進していかなければならないわけです。
要は、短期的な目線ではなく長期的な目線に立って、推進体制を作っていかなければならないということ。
さらに、これは職員だけではなく市民全員が意識していくべきことです。

自治体DX推進計画には、以下の文章が書かれています。
「[首長] DX の推進に当たっては、仕事の仕方、組織・人事の仕組み、組織文化・風土そのものの変革も必要となる中、首長自らがこれらの変革に強いコミットメントを持って取り組む。」
首長とは丹波篠山市でいうと市長のことですね。
DXは組織全体を大きく変えていかなければならないので、組織のトップが「DXするで!」と強く言っていかないといけないワケです。
なので私は、一般質問で市長に対して、DXをしていく上でのビジョンを説明してもらいました。
別にITのことを知らなくてもいいので、「DXやるんや!」っていう思いさえ持っていてもらえたらいいと思っています。

その上で、DXを推進していくための組織を作らなければなりません。
これについても一般質問をしました。
要約すると「DXを推進するための組織体制はちゃんとできてますか?」というものです。

市の返答としては、組織体制はできている、ということでしたが、まだ不十分という認識をお持ちのようでした。
そこで私は、「市役所の職員の中でITとかDXに興味のある人もいると思うので、本人手あげ式でDX推進員として活動してもらったらどうか」という提案をしました。
市はそれに対しては、いろいろな手法を検討しますと回答されました。

私が掲げる丹波篠山市のDXのビジョン

私が理想とする未来の姿としては、あらゆる分野の自動化と、教育分野の個別最適化です。

いくつか例をあげてみたいと思います。

【車の自動運転】
車が自動運転対応になると、市内における移動に関する問題が解消されます。
しかし、そのためには道路の整備が重要になります。

【スマート農業】
農業における大変な作業(草刈りなど)をロボットができるようになります。
効率よくロボットを使えるように、農地の区画整備が必要です。

【AI政治】
AIを活用して、合理的な視点から政治についての議論をすることができます。
活用する側のリテラシーが問われます。

【AI学習】
AIを使って、子どもたちが学習を行うことで、子どもたち一人ひとりに合わせた最適で効率的な学習ができます。

ほかにもいろいろありますが、なんにしても「ほんまにそんなことできるの?」という夢のような話ばかりです。
しかし、今のIT技術の進歩の速さをみると、そういった夢の実現がそう遠い未来の話ではないことが推測できます。
しかも、こういった技術は少子高齢化が進む地域にこそ、いち早く導入が必要だと思いませんか?

だからこそ、DX推進が必要なんです。
日本自体が他国と比べてIT後進国であるならば、地方はもっと遅れています。
でもせめて、丹波篠山市はITを活用して様々な課題を解決できる地域であってほしいと願っています。

長い解説終わりです

以上で、長い解説を終わらせていただきます。

ここまで読んでいただいた方がどれぐらいいるのか、そもそも存在するのかわかりませんが
DXについて少しでも知っていただき、抵抗感を下げていただき
そして、丹波篠山市のDXをともに推進していきたいと感じていただければ幸いです。

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